心の在り方 R&D

物も情報も不自由なく取得できる時代なのに、心は晴れずなかなか幸せになれない。心穏やかに少しでも心豊かに生きていけるようにしたい。

サラリーマンストレスの正体とは

人間の本能には、人を支配をしたいという欲求や誰かの上に立ちたいという欲望が備わっているのではないかと思う。それゆえ人からお説教をされるのはやはりいい気分ではないし、言われたことをそのまま受け止められず反論したりしたくなるときもある。誰かの下に成り下がるというのは感情的に受け入れ難いものなのだろう。歴史を振り返っても人は争いごとが絶えずに武力により人や国を統制しようとしていた。太占の時代より他人を征服したいという動物的本能が存在し、平和となった現在でも形を変えて脈々と受け継がれたいるように思う。

このような感情も悪影響ばかりではなく、スポーツや仕事などで誰かに勝ちたいって思う強い原動力にもなりうる。ポジティブに活用できれば自分を成長させるエネルギーとなるが、使い道を誤ると他人に反発したり足を引っ張ったりしようとする諸悪の根源となる。そしてこのあたりが人間関係のストレスを生み出す因子となっているように思えてならない。

 

会社のような組織ではピラミッド構造が完成しており、仕事の割り振りは上司から部下へと「上から下」へという形となる。仕事の本質を理解でき役割分担と理解できればよいがいつもそうすんなり咀嚼できるわけでもなく、時として部下の方が「上から下」の構造に感情的な不満を抱く。それでも仕事なので思うことはあっても粛々と任務を果たすという人も多いのではないだろうか。そういった動物的本能の抑制によるストレスが蓄積していき、「人間関係が最大のストレス」という人が非常に多く、離職原因の最大の理由にもなっているのだと想像される。

また、同僚と居酒屋で上司の愚痴を言い合う光景はよく目にするものだが、これらは「上から下」という力に抑え続けれた感情を解き放つ機会であり、あの上司はダメだ、わかっていない などと上から目線で感情を吐露することで、一時的にでもその同僚たちと上司を「上から下」に批評することでストレスを解消しているのであろう。

 

目線をずらして、プライベートでの見栄の張りあい現象について考えてみる。彼ら彼女らは会話の中で自慢を紛らせたり、SNS等で充実や幸せアピールを盛んに行っている。リアルの場でもネットの場でも自分の優位性を誇示したり、他人の悪口をいったりすることで自分が上・他人が下の序列を生み出そうとし続けている。インターネットを通してマウンティング女子や自虐風自慢という言葉を知ったが、これらのような言葉が大衆に認知されるのも、全国津々浦々で行われている言動だからといえよう。

 

このように人間の存在する場所には必ず「上から下」の動物的本能が湧き上がる。プライベートであればSNSをシャットするなり気に食わない仲間とは会わなかったらいいだけの話であるが、仕事の場合であればそう簡単にはいかず生活や家族のためにストレスを抱えながらも我慢せざるを得ないひとが大多数であろう。そうしたサラリーマンストレスは職場、居酒屋、満員電車内など様々なところで可視化されている。食欲や睡眠欲など人間の根本的な欲望に抗うことに多大なる労力が必要なように、この動物的な序列本能に逆らうことも容易ではないのだろう。そのことは歴史が証明し現代人も実証し続けている。では、どのようにすればこうした感情と上手く付き合っていけるのだろうか。やはり仕事の本質を正確に掴むことだと思う。どのようにすればお客様の満足を最大化してお金を頂くことに繋がるのか。そのためにプロジェクトがどのような動きをしていて、担当の者は何をしなければならないのか。その上で上司は何を意図して部下に指示を出しているのか。それらを完璧に理解することができれば「上から下」の構造をもつ指示であっても素直に理解でき仕事に向き合えるのではないだろうか。なかなか納得できないことでも、上司と全体像を捉えた利他的な議論を行えれば、指示の理解度の深さが増すかもしれない。己の感情に振り回されるのではなく、冷静に客観的に真相を読み取れる実力を身に着ける。そう努力することでサラリーマンストレスも軽減されるんじゃないかと信じている。