心の在り方 R&D

物も情報も不自由なく取得できる時代なのに、心は晴れずなかなか幸せになれない。心穏やかに少しでも心豊かに生きていけるようにしたい。

プライドとの付き合い方

とてつもなく優秀な知人で異例のスピードで昇進を続けるTさんと飲む機会があった。非常に優秀な彼は、私から見ると雲の上の存在、いや、星の上の存在くらいなのであるが、色んなことを開けっぴろげに話して下さる。そんなTさんの最近の悩みは「年上の部下」なのだそう。同期や年下またちょっと年上くらいまではバンバン指示を出していると期待しているものが返ってきたそうだが、10歳, 20歳年上の部下になるとなかなかそうはいかないらしい。効率優先で指示を出していると、大先輩の彼ら彼女らはあまりやる気を出してくれず、能力の60%くらいの仕事をしてしまうのだそう。一方、会社の先輩であり人生の先輩でもある彼ら彼女らの顔を立てながら、お力添えを頂く気持ちで仕事をお願いすると期待以上のものが返ってくるのだそう。ベテランの実力を発揮してくれるには、効率を落とし非常に労力をかけないといけないことに骨を折っているのだそうだ。

★★★

次元を3段階くらい下げると、私にも思い当たる節があった。学生時代の部活動では1軍, 1.5軍, 2軍, 2.5軍, 3軍と序列があり、もともと練習の内容なども違うが、試合前ではその違いがより顕著に表れる。そこには先輩後輩関係なく、所属が下の者が上の者のために、滅私奉公の気持ちでチームのためになることをしていく。その中で、私も先輩に練習の補助や雑用ともいえるようなことをお願いすることがあった。その「年上の部下?」にほんの少し似た状況を経験したのだが、それが色々と大変であった。先輩なので敬意を表しながらも、あれやこれやと注文をしながら練習をしたり組織を回す。メンツをは立てながらも、やーやー言わなければ自分のためにも組織のためにもならない。そのような取りこし苦労があった。

★★★

Tさんの話にしろ、私の経験にしろ、人間って本当に難しいものだと思う。年次が上なだけでも気づかぬうちにプライドが形成してしまっている。そんなプライドにかすり傷でも与えようものならば、やる気の低下という間接的な攻撃として返ってくる。そうしたプライドは「年齢」も非常に大きな要因の1つであるが、こだわりや考え方、生き方など様々な部分に存在し、そのあたりの地雷をちょっとでも踏んづけてしまうと火にガソリンを注ぐかのように怒りのキャンプファイアーとなる。他人事の如くプライドの弊害を指摘している私自身もなけなしのプライドを痛めつけられた経験が沢山あり、ちょっとしたことでへそを曲げてはやる気を奈落の底に落としたり、生気をなくして亡霊のように活動したこともあった。欲しくなんかないのに、ちっぽけなくせに立派なプライドを身に着けていることが憎い。

★★★

人間にはプライドがある。それは致し方ない。割り切る以外に妙案は思いつかぬ。

他人様に頼み事をするときは、自分を下に見せようが、全力でごまをすろうが、プライドをご丁重に取扱い、最大限のパフォーマンスを挙げてくれることに注力をしようと思う。そのプロセスで自分に心の摩擦が生まれようと、腹の中ではボロカスに罵っても涼しい顔をしていられるくらいカッコイイ人間になりたいな思う。反対に年下に命令されようとも、心の中では盛大に悪態をついても凛々しい顔つきで承り、先輩の意地で案件をさらりとこなし、おまけにお世辞をいって返却して差し上げられるくらい心にゆとりを持ちたいものだ。今後もプライド問題に頭を悩ますことはあると思うが、胸張って自分に誇りを持てるような振る舞いができるようにしていきたいなと思う。