心の在り方 R&D

物も情報も不自由なく取得できる時代なのに、心は晴れずなかなか幸せになれない。心穏やかに少しでも心豊かに生きていけるようにしたい。

「脳内麻薬」を読んで

人間を司っている脳。ものごとの感じ方も思い方も何もかも、脳(心)がベースとなっている。この脳(心)を追求することは、幸せを掴みとることにつながっていくような気がする。そんな思いのもと手にとったのが今話題の’脳内麻薬’という本だ。

 

「脳内麻薬」の本では、4章に分けられている。

第1章では、快感をもたらす”脳内麻薬”の正体である「ドーパミン」に焦点をあてその真相に迫る。快感の源であるドーパミンはいったいどのような時に放出されるのか。脳科学的に実証される例をふまえて、快感物質のメカニズムを追求する。脳のシステムの本質的なところに触れている。

第2章では、それらの脳内麻薬と薬物依存について。お酒、たばこ、覚醒剤などの麻薬。それらがなぜ依存症をもたらすのか。基本的な考えとして、これらに含まれるアルコールやニコチンなどの「物質」が、ドーパミンを放出させ快感を引き出す。これらによる快感を体験すると脳が記憶し、また経験したいという欲求が依存につながる。そして、同じ量では満足しにくくなり徐々に摂取量が増加しいき、快感物質への依存が強固となる。これらの脳内物質を科学的にとらえて、天然麻薬の成分によく似た物質を人工的に生み出された合成麻薬や、また逆に、これらのことを原理を踏まえて治癒が考えられた、抗うつ病向精神薬睡眠薬にも触れている。

第3章では、ドーパミンが得られるプロセス・人間関係への依存について。第2章では実際に存在する「物質」を介したものであったが、この章の「プロセス」や「人間」による依存では有形無形を問わない。具体的には、過食、セックス、恋愛、ゲーム、ギャンブルが取り上げられている。様々な行動や活動に伴い、ストレスであったり快楽であったりと多種多様な脳内物質が大量に生成せれる。なかでも上記に挙げられたものはドーパミンと深く関わりあいがある。例えば、セックスにおいては性的な快感をもたらす刺激が脳の報酬系を活性化させることが分かっており、場合によっては依存症を引き起こす。同様に、オンラインゲームやギャンブルなどにも脳の報酬系が刺激されるような仕組みが存在するため、人によっては過度に依存につながったりしているのである。

第4章では、社会的報酬について述べられている。これまでは直感的にも分かりやすい快楽について論じていたが、最終章では他人に褒められたり難易度の高い目標を達成するなどの「真っ当な喜び」に由来する脳内麻薬について展開されている。社会的報酬とは仕事や勉強や人間関係などによって生まれる、承認、評価、信用、信頼、尊敬などの心理的に嬉しいと感じるような要素が軸である。利他的な行動や向社会的によってドーパミンによる快感を味わえることを示している。

 

この本を通してドーパミンを受容できる方法は理解できた。できることならば、他人や社会のために頑張ることで得られるドーパミンが1番良い。仕事が楽しいと口にする人々は、このような快感を実感しているからだろう。だが、仕事の本質である他人の問題を解決するということは、多くは簡単ではなく苦痛を伴うことばかりである。そうした苦心の末に上手くいったときにようやく喜びのドーパミンを堪能することができる。このように社会的報酬はなかなか得られないが、短絡的に報酬系を刺激できるアルコールやギャンブルなどのような第2章と第3章に挙げられる刺激を望む人が多いのも、ものすごくよく分かる。

今後どのようにしていこうか。やはり、仕事やボランティアのような世のため人のために頑張っていきたい。でも、そのときに心が疲弊するから、アルコールだろうが何だろうが心を回復させて、また社会的報酬を目指す。仕事を頑張り、疲れたら楽しむ。ライフスタイルが大きく変わるってわけではないけれど、ドーパミンの原理を頭に取り入れると質が向上するはず。脳(心)を理解して、より多くのドーパミンを享受できるようにしたい。